中島義道さんの『私の嫌いな10の人びと』

 中島義道さんの『私の嫌いな10の人びと』を読んだ。発行は2015年で私の若い頃に読むことは不可能だったが学生時代に読みたかった一冊でした。

 中島さんがあげている10の人びとのうち、8の人びとは私も嫌いだった。

 世間的にいい人とされる人たちが、傲慢で卑劣で、おせっかいで、自己陶酔が好きな下品な人たちなのかがよく分かる。 

 

 だけど、中島さんが嫌いだとあげている10の人びとは日本に蔓延っている多数派であり、それを嫌いだと自己主張する事はなかなか普段の生活では出来ない。日本では多数派に同調するのが良しとされている。みんなと同じが良い事。みんなと仲良くするのが良い事。そこからはみ出るやつは、変わっているやつとみなされる。

 

そして、中島さんの本を読み共感している私もまた、変わっているのだろう。

 

昔の私は多数派になりたかった。

世間の通念から外れてる自分の考え方は正すべきであり、口に出すべきではないと思っていた。そして、自分の感情を押し殺しているうちに、人間嫌いがますます増幅し高校2年くらいのとき、鬱になった。

 

いつも笑っている人はきみが悪い。何が面白いの?

常に感謝している人は他人に感謝を求める。

 

みんなの喜ぶ顔がみたい人の前では絶対に喜ばなければならない。

 

物事をはっきり言わない人には、時間をかけて寄り添わなければならない。寄り添ってもらう事を期待しているのが伝わってくるから。

 

多数派の前では、演じなければいけない事が分かりやすい。皆が同じような考えで、リアクションをしているので周りの真似をすればそれで良い。そして、多数派の奴らは自分では無自覚で他人に共感と共有を押し付けてくる。それに、合わせろと伝わってくる。

 

 

自分の信念を主張する事が出来ず、まわりに合わせようと努力する心が弱い私は、学生時代に中島さんの本に出会っていれば

どれほど心の支えになり、救われただろうか。。。

 

 

 同調圧力や普通だとみなされている習慣や文化から、外れることは決して『悪』では無い。

そういう思想がマイノリティの心を強くさせ生きにくさを軽減してくれる。